2001年宇宙の旅





20KB

映画「A.I.」の DVD を買って来た。映画館で見損ねていたのだ。
監督はスティーブン・スピルバーグだが、原案はスタンリー・キューブリックだった。
映画的にはスピルバーグらしいほのぼのとした、なかなかいい映画だった。
そして私は、スタンリー・キューブリックの映画を、妙に見たくなった。

スタンリー・キューブリックと言えば「2001年宇宙の旅」だろうか?
恥ずかしながら「名作」と呼ばれるその映画を、私は過去に見ていなかったのだ。
コンピュータの HAL 9000 や宇宙船ディスカバリー号やモノリスと言った言葉だけは知っている。
HAL の名は、IBM のアルファベットを1つずらして命名したと聞いている。

デジタル・エフェクトや CG登場以前に作り上げた驚異的な特殊撮影技術。
難解なストーリーに込められた謎掛けと宇宙の神秘。
その後のSF小説、映画界に強烈なインスパイアを与えた記念碑的超大作。

これは「2001年宇宙の旅」を見るしかあるまい・・・





28KB

¥4,980 もするだけあって箱が豪華だ。オリジナルサウンドトラックCDも付いている。
DVDとCDの 2枚組で¥4,980 なら、お買得かもしれない。

最初のシーンは音だけで絵が出て来ない。マックが壊れたのかと不安になった。
絵が出たはいいが、何だかスライドショーみたいな感じだ。動画は出ないのか?
やっと絵が動いたと思ったら、今度は「猿の惑星」か?である。どこが 2001年なんだろう?
更に音楽が何とも無気味で、まるで「オーメン」でも見ている様だ。

宇宙船が出て来て音楽が「美しき青きドナウ」になった。ちょっとホッとした。
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン、演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団である。
オリジナルサントラには、有名な「ツアラトゥストラかく語りき」が二つあった。

1 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン、演奏:ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
2 指揮:カール・ベーム、演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団       

映画で使われたのはカラヤンの方で、カール・ベームの方は日の目を見ていない。
サントラを聴き比べてみたが、私的にはカール・ベームの方が好きだ。
音の切れ味とインパクトでカラヤンに決めたのだろうが、私はカール・ベームの方が好きである。
映画的には・・・、やはりカラヤンの方で正解かもしれない。

宇宙ステーションは何故クルクルと回っているのか? それにはちゃ〜んと理由がある。
無重力状態が長く続くと、宇宙酔いや筋肉の萎縮などの問題が生じてくる。
そこで居住空間を回転させて遠心力を発生させ、疑似的な重力を与えるのだと聞いている。
などと、たまには私も真面目な蘊蓄を語ったりもする(笑)。

この映画の公開は1968年である。私が幼稚園のタンポポ組に入った頃だ。
キューブリックとアーサー・C・クラークの思い描いていた 2001年は「宇宙の旅」だった。
だが現実の 2001年はどうだ? 映画より遥かに遅れているではないか!
人類にはもっと頑張って頂きたいものである。

そんな事はどうでもいい、問題は映画の内容なのであった。
実は、これが何とも理解に苦しむ内容なのだ!
 これは 1度見たくらいではチョット理解出来ない、そんな奥深さを感じる映画である。
それじゃあと言う事で、2時間28分のコレを 2回見る事にした・・・

う〜ん、それでも判らない。最後の方が特に訳が判らない。
宇宙船の乗組員(デイブ)が、どうして「浦島太郎?」になってしまったんだ?
猿の惑星にも浦島太郎にも出て来る「モノリス」とは、一体何を意味しているんだ?
最後の「スター・チャイルド」とは、モノリスを作った地球外知的生命体なのか?
謎は深まるばかりである・・・





20KB

『モノリスの謎は、宇宙の神秘を解くカギを握る。』
と言う事で、続編の「2010: the year we make contact」を見る事にした。

原作はアーサー・C・クラークだが、監督はスタンリー・キューブリックではない。
ピーター・ハイアムズとか言う、訳の判らない監督だ。バキッ!!☆/(x_x)
時代設定はあれから 9年後だが、映画の公開は 16年後の1984年である。
キャスティングも一変していた。ディスカバリー号の乗組員・デイブだけは再登場だった。
それと「HAL 9000」も再登場である。2010年には HAL の後継「SAL 9000」なんてのも登場する。
ターミネーターの「101型」と「T 1000型」みたいな物か? でもサルってのもね〜。

それより「宇宙船レオノフ号」の内部が、まるでゲームセンターなのである。
見た目だけでなく音もゴチャゴチャとうるさい。未来の乗り物とは到底思えない造りだ。
宇宙船の内観・外観ともに、デザイナーのセンスをまるで感じられない。
9年後のディスカバリー号の表面が、なぜ硫黄で覆われてるんだ? 無重力に対する概念も甘い。
この映画は安易に作り過ぎているのではないか?と言った感じがする。

だいいち「米ソの対立」なんてこの物語には不要だ。前作に比べ余りにも話しが陳腐である。
HAL が暴走したのはそんな理由からか? 暴走するには他に理由があるんじゃないのか?
結末に至っては何ともくだらない。深みも謎も全くなく「普通のお話し」になってしまった。
万人受けするとでも思ったのだろうか? この程度の映画はその辺にゴロゴロしているのだ。
あの映画から16年も経って、あの映画の続編がこの程度では、余りにもお粗末である。
アーサー・C・クラークの、単なる野心の為の映画としか考えられない。

こんな続編であれば、見ない方が良かったとさえ感じてしまう。
私の抱いた謎は、そんな単純な物ではなかったのだよ、クラークくん(怒)。
改めて「2001: a space odyssey」を見てみたくなった・・・




a few days later...

「2001年宇宙の旅」はやはり謎に満ちている。満ち満ちているって感じだ。
これまで 4.5 回見たが、見る度に新しい発見がある。
4.5 回と言うのは途中で寝てしまったのだ。無気味な音楽にも段々と慣れて来た。
名作と呼ばれる所以は、多分そんな所にあるのだろう。
「2010年」の方は 1度見れば十分だ。見直すまでもないつまらない映画である。

「2001年宇宙の旅」には、何通りもの色んな解釈があるらしい・・・
自分の解釈が正しいかは判らないが、この映画の「謎解き」は実に面白い。
スタンリー・キューブリックは、mystery(謎)をこの映画に込めていたのだ。
だから訳が判らないのである。それとも私の考え過ぎなのかな?

興味のある方は「2001: a space odyssey」を見て、謎を暴いてみては如何だろう。
一度や二度見ただけでは、たぶん謎は解けない筈であ〜る。




2001年宇宙の旅(2002/03/20) 


 青年の主張に戻る。