漆喰左官



我が家の現代の名工(伊藤富夫さん)の仕事

以前、銀山温泉・旅館藤屋の漆喰戸袋改修の仕事をチラッと紹介しましたが、
今回は、同じ銀山温泉の「源泉館」の漆喰戸袋改修を紹介しましょう。
源泉館は内部をリニューアルして、銀山荘 の別館「古勢起屋」と成る様だ。
12月 1日がオープンらしく、現在突貫工事中である。


   
改修前(左戸袋)
改修前(右戸袋)


この戸袋の「文字と家紋」を、下の様に変えたいと言うのがオーナーの考えだ。
口頭だけの打合せでは、出来上がってから『イメージが違う』とか言われても困る。
そこで図面化してあげた。図面化すると説得力もあるし、承認も得やすい。
文字は、オーナーから頂いた原稿をスキャンして、サイズを調整して貼付けただけだ。



一度、原案の図面を作って出して、それを修正して第二案の図面でオーナーの承認を得た。
こう言った物は、図面化して文字のバランスや形を見ないと判断が付かない。
作り終えてから『文字をもうチョット大きく』なんて言われてもねえ・・・
決定した図面を Scale=1/5 の「A1」施工図にして、更に文字部分を「原寸」で出してあげた。
現代の名工も、文字を写すのが楽だった事だろう。


   
製作中(左戸袋)
製作中(右戸袋)

左戸袋の旅館(館旅)の文字だけは、先人の仕事に敬意を表して、そのまま残して補修のみとした。
オーナーにも話しをして了解を得た。職人同士の時空を超えた共同作業って所だ。
文字は、白漆喰でキャンバスを作り、その上に黒漆喰で文字を盛上げている。
何となく私にも出来そうな気が・・・バキッ!/(>_<;)


左戸袋    →      
    (改修前)   (改修後)  
     
     
右戸袋    →   
    (改修前)   (改修後)  


二つがこうして仲良く並ぶのも今だけ・・・

現場での作業は天候に左右され易いので、戸袋を外して作業場の方で製作して、
出来上がった物を現場に持って行って、再取付けした。
製作途中にオーナーが、何度か作業場まで出来具合いを見に来たらしい。
現代の名工としても満足のいく出来の様だ。ご苦労様でした。


   
現場取付(左戸袋)
現場取付(右戸袋)

左戸袋の左側に昭和館の戸袋が見えるが、それも伊藤富夫さんの仕事だ。
源泉館(古勢起屋)の戸袋は、まだ改修工事中なのでビニールで養生している。
銀山温泉の左官仕事で有名な人は、大石田町出身の後藤市蔵(玉舟)と言う凄い職人がいる。
「山形の入江長八」とも言われる、物凄い明治の左官職人だ。
入江長八が「絵画」なら、後藤市蔵は「彫刻」と言った感じですね。
後藤市蔵さんの仕事には遥かに及ばないが、伊藤富夫さんも銀山では頑張ってま〜す。





東北電力 広報誌「白い国の詩」


 


東北電力の広報誌「白い国の詩」の取材依頼があり、伊藤富夫さんが取り上げられる事に成った。
その取材で来た時に、源泉館の漆喰戸袋をやっていたので、その取材をして行った。
作業場での製作中と、現場に取付けた後と、その後更にもう一度取材に来た。
そして取材原稿のゲラ刷りが出来たと言う事で、4ページの原稿確認依頼が届いた。
2ページ目の横顔の写真が渋くてイイねえ。4ページ目は足場から落ちそうで危なっかしいですねえ。
次の広報誌(2007.冬号)に載る様なので、興味のある方は PDF をご覧あれ・・・

東北の技「漆喰左官」PDF(2.8MB)



漆喰左官(2006.11.15) 


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