ワグナーの独り言(10月21日)

 ボク、ワグナーです。岡山で生まれここ山形の家に貰われて来て、もう直ぐ5年に成ろうとしています。
何にも分からない白紙状態でここに来たんだけど、ここでボクは人間社会で暮らすワンコとして育てられたんです。産んでくれたお母さんかブリーダーさんに教えられたのは、喧嘩をしちゃいけないって事と、ウンチの側には寄らないって事かな。
ボクがまだ赤ちゃんの時だったから、誰に教えて貰ったのか定かではないんだけどね。ひょっとすると生まれながらのものなのかも知れない。何たってボクは生まれがいいもん。へへへ。あとはここの家の流儀で育って来たんだ。

 この家のパパはワンコと暮らすのはボクが初めて。ママも小さい頃ラッシーという名の大型犬と暮らした事があるらしいけど、世話のほとんどは亡くなったお爺ちゃんがしてたらしいから、ほとんど初めての事といっていいみたい。
ボクは芸能犬として育てられた訳ではないので、歌も歌わなければ三味線も弾かない。勿論サーカスの真似事も出来ない。
ちょっと開いているドアの向こうの部屋に行きたくても、決して自分でドアを開けようとは思わないんだ。ボクの力からすればチョイと前足でドアを撫でれば開く事は分かってるんだけどね。勝手に開けて入るような無粋な真似はしないんだ。
そんな時は「ドア開けて〜」と吠えるんだ。パパやママも大分利口になってボクの真意を理解してくれるようになって来た。うん。

 季節の変わり目に、ボクはよくピーになる。急にお腹が痛く成ってピーしに行きたい時も「連れてってよ〜」って吠えるんだけど、常にある事じゃないからパパやママはボクの言葉を理解出来ない事もあるんだ、まったく。そんな時は玄関のドアのとこまで行って「このドア開けてよ〜」って吠えながら前足で玄関ドアをガリガリやってやるんだ。そりゃ夜中の3時だろうが4時だろうが同じだよ。家の中でピーされるよりゃいいでしょ。ボクはウンチやチッコを家の中でするのは絶対嫌なのだ。雨が降ろうと槍が降ろうとね。チキューボーエーグンの職務もまっとうしなくちゃいけないしね。(ボク、副隊長なのです。)

パパが帰って来た!
ウレシイ、ウレシイ、ウレシ〜ィ!

食事中だったからエプロンを付けたまま
食べてる途中だけどお帰りなさいの儀式をして上げなくちゃ!
ドタバタドタバタ・・・ワォン!ワォン!

「毎回、御苦労なこってす。」←パパ談

 食べ物にしたってそうだ。テーブルの上に美味しそうな食べ物がいくら乗ってたとしても、ボクは絶対盗み食いって事はしない。でも決して知らん振りが出来る訳でもないんだ。ボクに出来るのは、パパやママの箸の動きをジッと追いかけて時々涎を垂らして見せる事だ。そんな時は礼儀ってもんがあるから、ちゃんとお座りの姿勢でね。礼節って大事だよ、時々おこぼれに預かる事が出来るもん。
食べ物はパパやママの手からって思ってるけど、散歩の時は別。外に出ればパパやママが一緒でも主導権はボクなんだ。時々、道路に落ちてる食べ物を頂く事がある。決まってパパやママに吐き出させられちゃうけどね。
リードがなけりゃピョンピョコ明後日まで行っちゃうんだけどな〜。外の空気は自由の味がして美味しいよ。

礼節って言えば、若いワンコ達はワンコ同士の上下関係をわきまえない子も多い。かく言うボクもそうだったから仕方ない事なんだけどね。ボクが礼節を教わったのは大阪のダイ君が最初だった。今思えば懐かしいけど、あの時ダイ君に随分怒られたもんな〜。怖かった。
今のボクは先輩犬を立てるように、後輩犬には優しく、そう行動してるんだ。匂いで自分より年齢が上か下かが分かるしね。
時折礼節をわきまえない若いワンコに指導する事があるけど、人間界では指導する事も御法度って場合が多いみたい。ボクは怒るだけで噛み付いたりする訳じゃないんだから指導は指導で認めてくれてもいいのにと思う事があるけど・・・。いつもパパやママに止められる。
まだ匂いの経験が浅いせいで年齢の匂いの勉強が出来てない子が、あのままチヤホヤされたら、その子にとっても良い事じゃないんだけどな〜。と、5才にも成るボクは思っているのです。気の荒いワンコに教えられるより、ボクに教わった方がいいと思っているのです。ボクに教えてくれたダイ君のようにね。

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