ある夜の医龍(11月17日)

 11月9日は、サリー家の長男リンチャンの誕生日でもあり、ついでに私達の結婚記念日だったので、翌日の10日にサリーママとリンちゃんが訪ねて来てくれました。お互いにプレゼント交換して2時間程遊んでってくれたサリーママとリンチャン。この時のワグナーは、一体どこが悪いの?といった感じでドタバタやっていたのです。
その翌日の11日からワグナーの病状が急激に悪化し、苦しそうな呼吸でほとんど動けなくなり、そして食べれなくもなったワグナーですが、15日の血液検査の結果を見ると、不思議な事に腎臓の数値も平均なみに改善され、しかも後ろ足の付け根の腫瘍も小さくなっているのです。もっと驚いているのは、体重が40kgを維持しているのです。
11月1日に飲ませた抗癌剤ロムスチンの作用が表れて来たのかもしれません。ほとんど動かず半分寝ているように見えるワグナーですが、自然治癒力の活性化をはかる為にこうしているのではないかと思わざるを得ません。「凄いぞワグナー、お前は偉い奴だ。」と感動の涙がにじみました。

少しだけ食べる時もあったり、まったく食べない時があったりですが、食べるものもその時々で違うのです。これも自然治癒力の一環ではないかと、時折はわざとサラダ油で炒めたものや、砂糖と醤油で薄く味付けしたものを口先に持っていきます。とにかく食べて、体力をつけるのが第一と考えているからです。当のワグナーは食べたい時は食べるし、食べたくない時は一切受け付けない。どう見てもその時々に身体の要求する栄養分だけを選択して摂取している様に思えるのです。

 今、一番悪さをしているのは右肺に出来てる腫瘍です。
超音波エコーの画像を見ても大分広がっているのが分かります。レントゲンで詳しく見るのは、今の体力のないワグナーには辛い作業になりそうなので止めておきました。

掲示板にもちょっと書いたけど、リビング脇の和室にこんな具合に寝ています。ワグナーの側にある寝具は、もちろん添い寝用のもの。


 呼吸が苦しい時の為の鎮痛剤の注射を頂いて来ました。頂いて来たその夜の午前4時頃、ヒーヒーとワグナーの苦しそうな鳴き声に目を覚ました私は、すわ、ここ一発、とばかりに注射の用意をして(←気分は医龍の天才外科医・朝田龍太郎)ムムッと、ばかりにワグナーの首筋に針を差し入れたのでした。注射も終えホッと一息いれ、トイレで用を足し終えてリビングのドアを開けると、ナッ、ナンジャ〜〜!!
ワグナーがリビングのドアの前で片足も上げずに・・・ジョーー-。。
(@_@;)ギョッ チ、チッコしてる〜〜!
今まで家の中はおろか、リビングでなんかチッコをした事がないワグナーなのに、余程我慢が出来なかったんでしょう。
はは〜ん、ヒーヒー言ってたのはこの事かと理解したのでありました。


 チッコをしたくなると今までだったらリビングのドアを足で叩いて教えてくれてたワグナーですが、動けなくなってそれすら出来なかったようです。二階で寝ているママを起こして、一応どう処理しようか聞いてみたけど、寝ぼけてるから答えにならない。仕方なく脱衣所に行ったら私のTシャツがあったから、ワグナーのチッコをそのTシャツに吸わせて、・・・新聞紙、新聞紙、どこにあるんだ新聞紙。まったく家の中の何がどこにあるか分からないわたしには、先ほどまでの天才外科医の気分は何処へやら、パニック・パニック、パニックの3乗気分となりました。
やっと新聞紙の束を階段(いつも昇り降りしている階段)でやっと見つけ出し、チッコを吸いに吸って重〜くなった私のTシャツを、その新聞紙で包んで外のゴミ箱に入れたのですが、まだまだ洪水状態のリビングの床。今度は新聞紙に吸わせて、・・・雑巾、雑巾、雑巾とバケツはどこだ?
夜中の4時過ぎに家中の明かりを煌々とつけて、雑巾とバケツを探して決して広くない我が家を放浪する天才外科医・朝田龍太郎でありました。
 雑巾とバケツは見付からなかったけど、バスタオル1枚持って何度も洗面所とリビングを往復し、やっと何とか始末を終えたのは朝方の5時前でした。その間、済まなそうにリビングの端っこで、エライコッチャの作業を見つめて居たワグナー。
「ワグナー、良くやった。エライエライ、良くリビングで出来たね〜。」と、ナデナデ。
「こっちで寝よう。」と、和室の布団にワグナーを連れて行ったのでありました。チュンチュンと雀も鳴き始める時間に。

wagner's room