父が亡くなって、葬儀を挟んでほぼ１週間、ワグナーは実家の外にある駐車場の車の中ですごしていました。四十九日の時も当日を挟んで３日間、同じ様に車の中で大人しくしていました。外に出るのは朝・夕・寝る前の１日３回の散歩の時と、朝・夕１日２回の食事の時、合計１日５回だけ。あとは狭い車の後部座席で、じっとしていたのです。
　家にいる時はリビングや台所を自由に歩き回って、家人との接触もいっぱいあるのに、１日のうちほとんどを狭い車の中でじっとしていなければ成らなかったワグナーでした。だからといって拗ねたり反抗したりする訳でもなく、１日５回の接触の時には、いつもの様にシッポ・ブンブンでフレンドリーなワグナーなのです。場合が場合なだけに、なかなかワグナーの方へは神経が行かなかった葬儀前後と四十九日前後でした。

　四十九日が終わるまでは何かと気ぜわしい日々でしたが、こうして何とか落着いて来ると、文句の１つも言わないでじっと待っていたワグナーが今更乍ら愛おしく感じられます。時折、こちらの気を引こうと、いろんなものを銜えて来てはわたしの側でカジカジする回数が増えて来たワグナーを連れて、ドッグランに連れて行ってやる事にしました。