点滴(9月20日)

 1週間程前、食いしん坊のドタバタヤローが夕食を一切口にしなかったのです。いつもは食器がピカピカに成る程綺麗に食べていたのに、数日前から食器の底に食べ残しがへばりついているのを目にしていました。散歩から帰って来て、風呂場で足を洗うと、いつもは一目散に飛び跳ねて台所のミルクの所へ行くのに、この日は大好きなミルクを飲もうともしなかったらしい。今までこんな事はなかったのに。

 翌朝も一切食事を口にしないので、何とか仕事をやり繰りしていつものハンサム獣医さんに連れて行きました。
近頃、咽に何か違和感があるような変な咳もするし、横になっている時にピクンピクンとけいれんもするしといった状況も話し、
「消化器系に何か出来たんですかね〜?」と言うと、
「じゃあまず血液検査をしてみましょう。」と先生。
後ろ足からの採血で嫌がるワグナーを押さえ込み、何とか採血完了。ワグナーを車に入れて10分程待たされてから診察室に呼ばれました。
先生は、数値の記入されたA4の紙を診察台に置き
「ん〜、これとこれの数値が異常に高いんです。」と、2ケ所の数値を難しい顔で指し示しました。
「この数値の横に書いてあるように、腎臓が悪いという事なんです。今にして思えば、前回、血尿が出たのも腎臓が影響してたんでしょうね〜・・・。」
何でも、腎臓の2/3が機能しなくなるまで数値が出ないという事で・・・という事は、既に腎臓の2/3は機能してない。。
先生も腎不全というのは老犬に多い病気だし、ワグナーのような元気なワンコがそうなるのも珍しいと言ってたけど、バニの6〜7才はやっぱり鬼門なんだろうかと。。

 腎臓は肝臓などと違い、再生の利かない臓器。残り1/3の機能の悪くなる速度を出来るだけ遅くする治療をするしか方法がないとか。
方法は3つ。1、入院させるか、2、足に管を入れてそこから点滴するか、3、皮下点滴するか。
ワグナーと生活出来なくなるなんて絶対嫌だから1は即座に却下。足に管を入れたらワグナーが取らないとも限らないし、エリザベスカラーを付け続けるワグナーじゃワグナーもこちらも煩わしそうだし2も却下。残るは皮下点滴だけど、その時点でわたしが自宅で出来るのか不安でしたが、先生もそれを察したらしく、
「今、やってみましょう。」と皮下点滴の実演が始まりました。
「首の下のこのあたりを摘んで、こうやって45°くらいの角度で針を射します。もっともワグナーくんの毛皮は厚いから直角でも大丈夫ですよ。」
実演指導を受けながら、500mlの点滴を2袋入れ終えると、ワグナーの首の下にはこんもりと20cmくらいのコブが出来ていました。
点滴のビニール袋をギューギュー絞り入れたから、計1,000ml入れたけど時間は約30分で終了。

 たまたまこの日の夜、テレビを見ていたらペットブームでペットの寿命も延び、高齢のワンコの介護が増えているという特集をやっていました。
やはり腎不全で高齢の小型犬に皮下点滴をしている映像が写し出されていました。皮下点滴なんて出来るのか少し不安だったわたしには何ともグッドタイミング。「世に偶然はない」と言うけど本当ですね〜。しみじみ。

 あの日から毎日朝と夜、500mlを1本づつの皮下点滴を続けています。
点滴中はワグナーも大人しくしていますが、まだ慣れない事もあって針が外れる事もあり、ワグママが針を押さえて、わたしがビニール袋を絞ったり流れ具合を点検したりと、2人と1匹、家族団欒の30分となっています。(先生は2本を30分でやったけど、慣れないせいか1本で30分掛かってます。)

 ワグナーはなかなか食事をしなくなったので、何とか食べさせようと今日は缶詰め明日はビスケットと手を変え品を変えての頭脳プレー。
食事には獣医さんに貰った腎臓の働きを助ける炭の小粒を混ぜるのですが、最初は気にせず一緒に食べていたのですが、敵さんもなかなかなもので、炭粒が混じったところは食べようとしなくなりました。缶詰めだけをスプーンですくって差し出すと食べるくせに、炭粒の混じったのをスプーンで差し出してもあっち向いてホイ状態。
何でも食べてくれてたのに、病気がワグナーの嗜好まで変えてしまっているようです。

 腎不全という病気になってしまったのは仕方のない事、深刻に考えても事態は変わりません。明るく元気でフレンドリーなノホホン・バニのワグナーに相応しい、家族団欒で明るい家庭のままに、出来るだけの事はしようと思っています。 by ワグパパ

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