松本英尚の静岡旅行記



   
株式会社 稲田亀吉商店
専務取締役 松本英尚
Hidehisa Matsumoto


  目次 
   
 1  〜序章〜
2 2019.06.09 〜少し肌寒さの残る朝〜
3 2019.06.10 〜午前中はダラダラと〜
4 2019.06.11 〜終わり良ければ全て良し〜




 〜序章〜

 令和最初の全国大会になる「第54回 日左連青年部定期総会 静岡大会」が、6月10日に開催された。山形県からは、コンパス会のメンバーが中心となって毎年出席している。今年も例年通りコンパス会のメンバー 7名と、昨年から参加する様になった、青年部の樋口副部長が出席した。
 この全国大会は定期総会・講演会・懇親会が一日で行われる行事である。ところが毎年、旅行も兼ねて 2泊3日で全国大会に行くのが慣例となっている。今回も同様で、総会の前日に現地入りして、総会翌日に山形へ戻る 2泊3日の行程とした。

 私は静岡に一度だけ訪れた事がある。もう 20数年も前の話だ。その時に訪れたのは、静岡県の東部にある小さな町だった。何月頃であったかは覚えてないが、とても穏やかな気候で、目の前に広がる景色が、まるでフランス印象派の絵画の様だった。優しい風が全身を包み込んで、自然の優しさに触れた初めての体験だった気がする。この時の体験から、自分の心の中に静岡県に対する爽やかなイメージが出来上がった。そして今回の静岡大会、旅立ちの日が近づくにつれ、年甲斐もなく心を躍らせていた。

 




 2019年6月9日(日)

 出発の日、少し肌寒さの残る朝だった。山形駅 8時発の山形新幹線をホームで一人待つ。山形駅からの乗車は私だけである。他のメンバーは、先にそれぞれ最寄りの駅から乗車予定である。8時少し前、到着した山形新幹線に私は乗車した。寺崎さんと伊藤さんは、既にほろ酔い気分の様子だった。天野さんは少し抑え気味で、お酒を飲めない三浦さんは会話に混ざらず一人静かに iPad を弄っていた。大類夫妻は我々とは別車両(グリーン車)に乗っている。山形新幹線で東京駅まで行き、東海道新幹線に乗り換えて浜松駅で降りる。約 6時間の長旅だった。

 浜松駅へ到着したのは午後 1時20分。伊藤さんと寺崎さんは缶ビールに缶チューハイを、2人で 10本は空けたのではないだろうか。浜松駅に着くと、私は天野さんと伊藤さんと 3人で、予め手配していた車椅子対応のレンタカーを借りに行った。大都市圏以外での大会の場合、数年前からレンタカーを借りる様にしている。特に地方での大会では、移動手段として非常に便利である。

 レンタカーの受付を終えた後、係りの人が車椅子用リフトの操作方法を、実際に動かしながら説明してくれた。3人は息をのんでその動きを見ていた。動いた瞬間、全員が揃って『カッコイイ!』、まるでロボットの様な動きに 3人とも感動した。なんだか新しい武器でも手に入れた様な優越感に浸りながら、他のメンバーが待つホテルへと車を走らせた。

 ホテルにチェックイン後、メンバー全員で少し遅めの昼食をとる事にした。初めての地でもあり、ホテル近くの浜松駅ビルで、その 7階にある居酒屋風の店に入る事にした。まずは皆で浜松到着に改めて乾杯!
 店のメニューは豊富だった気がするが、具体的には余り良く覚えていない。一般的な居酒屋メニューだったが、ウナギにはがっかりした。居酒屋だとは言え浜松駅の 7階にある店で、あのウナギは宜しくない。まるで、イワシの缶詰でも食べている様だった。

 大会の前日は、静岡県左官業組合青年部主催の「前夜祭」が午後 6時からあり、「遠州男唄 濱松たんと本店」という店で、我々山形も参加させて貰った。印象に残ったのが、大皿に何十個とのせられた浜松餃子だ。真ん中には、もやしがのっている。私は知らなかったが、全国的に有名な餃子らしい。ところが、はっきり言って全然美味しくない。まるでチルド餃子の様な冷たい餃子だった。昼のウナギに続いて更にガッカリした。
 その後は、毎度お決まりの二次会、三次会、そして締めのラーメン。かなり酔っていた事もあり、どんな女の子と、どんな話をしたかなんて事も全く覚えていない。なんだか消化不良で終わった静岡旅行の初日であった。

(2019.06.09)




 2019年6月10日(月)

 総会当日。ホテルの朝食を食べ、午前中はダラダラと過ごし、昼前にロビーに集合。そこから皆で昼食へと出掛けた。昨日の夜、三浦さんが予約をしてくれた、うなぎ料理の名店「あつみ」だ。さすが三浦さん、こう言った準備はお手の物だ。うな重に肝吸を付けて 4,450円。これこそが浜松のうなぎだ、実に旨かった。ただ、この金額を出せば何処の土地で食べても旨いのではなかろうか?とも思った。旅先で気の合う仲間と一緒に、酒を飲みながら名物を食す。そんな時間が楽しいのかもしれない。

 実はコンパス会の慣例で、定期総会には出席しない。午後 6時半からの懇親会に間に合えば良い。時間はたっぷりある。ところが生憎の雨、せっかくレンタカーも借りた事だし、無理矢理プランを立てて、いざ出発!運転はこの私、因みに私は昼にお酒を飲んでません。コンパス会 2軍の私は、1軍の皆様に奉仕するのが仕事です。

 まずは「エアーパーク」へと向かった。航空自衛隊の浜松広報館で、様々な飛行機が展示されているそうだ。見に行く価値がありそうだ。期待を胸に車で走ること約 40分、エアーパークに到着した。ところが門が閉鎖されていたのだ。「本日休館日」こんな事があろうとは…。
 ガッカリしながら、外に展示されている飛行機を遠目に、今度は浜名湖へと車を走らせた。ところが雨だ。雨、雨、雨だ。浜名湖に着いても、ずーっと雨だ。仕方なく浜名湖のサービスエリアに立ち寄り、一服…。その後は観光を諦めて、来た道を戻って早々にホテルへと帰った。

 何だか抱いていた静岡に対するイメージが、少しずつ崩れ欠けて来た。観光している筈の時間が余り、懇親会まで部屋でダラダラ…。こんなダラダラした旅行は本当に珍しい。そして、6時半からの懇親会に出席した。懇親会中はやけ酒とまでは行かないが、様々な出し物には目もくれず、只々ひたすら飲み続けていた。その後は、お決まりの二次会、三次会、etc。

 この日、結構飲んで酔った私は、途中から一人で行動をとった。二次会の店の子を気に入って、私一人その店にずーっと居続けた様だ。いつもの悪い癖だ。翌朝、目が覚めると同時に、自己嫌悪に陥いった。年をとってもこれだけは変わらない。きっと変われないのだろう。

(2019.06.10)




 2019年6月11日(火)

 帰りの日。帰りの行程も来る時と同様、長旅になる為、ホテルのチェックアウト後、すぐに浜松駅へ直行した。お土産を購入して、駅の 1階にある寿司屋で昼食をとる事にした。何故かそこに、福岡の橋本さんという方が同席していた。今年のサミットは「福岡」で開催予定なのだ。橋本さんから福岡の美味しい物やら、楽しい所やら、色んな話を聞かせて貰った。

 ここの寿司は本当に旨かった。ネタの種類も海辺ならではの豊富さだ。山形ではお目に掛かれないネタもあった。仲間も増えて大勢でワイワイと、旨い寿司と上等な酒、終わり良ければ全て良しだ。旅とはそう言うものかもしれない。ようやく最後に、心に残る思い出が作れた様な気がした。

 東海道新幹線に乗り、後は帰路山形へ。昼に結構飲んだ事もあり、帰りの新幹線では、途中で富士山を眺める事もせず、ずっと夢の中にいた。乗り継ぎの東京駅で、寺崎さんが「東京ばな奈」をお土産に買っていた。寺崎家では、うなぎパイより東京ばな奈の方が好きらしい。

 今回の旅行(静岡大会)を振り返ると、少しガッカリしたのが正直な感想である。それは元々私が持っていた、静岡県に対する期待が強かったせいもあるだろう。それとも 20数年の歳月の流れの中で、私が何か大切な物を失ってしまったのだろうか?それとも降りやまない雨のせいだろうか?
 次は気候のいい時に、もう一度静岡に訪れたいものだ。そして 20数年前に出会った、あの心地良い爽やかな風に再会したいものだ。もし、まだ私の中にあの時の様な純粋な心が残っているならば、きっと又出会う事も出来るだろう。

(2019.06.11)
 
松本英尚の静岡旅行記 完
 



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