白い巨塔(10月19日)

 10月11日(木)の朝6時に山形を出発して麻布大学に行って来ました。予約していた1時間前の12時半頃には到着したから、時間にして6時間の移動。
早速、受け付けに行き所定の用紙に住所等を記入し提出して、外の喫煙所でワグナー共々休憩。
喫煙所には60才くらいのご夫婦と柴のMixワンコがいました。乳ガンだという事で、やはり獣医さんから当大学を紹介され、今日が初診とか。
「なかなか食べてくれなくて、今日の初診まで体力がもつか心配だったんですよ。」とご主人。何でも予約まで1ヶ月掛かったらしい。そうしてみると我が家は半月だったからまだ良かったのかな。ハンサム先生、頑張ってくれたんだな〜。
病状を聞いてみると、ワグナーとまったく同じ。なかなか食べてくれなくて、毎回手を変え品を変えての食事とか。
「いや〜、検査はいいんですけど、学生達のモルモットにされると嫌だなって思ってるんです。犬だけどネズミじゃないですからね。」と煙草をくゆらせ、笑いながらも半分本気のわたし。

そうこうしていると「佐藤さんとワグナー君ですか?」
さっき記入した用紙を持って白衣を着た30才くらいの男性が建物から出て来ました。
どうやら助手の先生らしいけど、凄く丁寧にワグナーの状況を聞いてきました。
「シッコの切れが悪くなったようで用を足した後も歩きながらしてるんですが、何か関係あるんでしょうか?」と質問すると、
「じゃあ、そのあたりも調べてみましょうね。」ってな具合。
なかなか感じがいいけど、ワグナーをモルモットにするなよ。。(ーー;)

 診察予約の時間になって、診察室に呼ばれました。診察室のドアを開けると正面の診察台の向こうに60才前後の眼鏡を掛けた何やら偉そうな先生がいて、更にその背後に7〜8人の白衣を着た若い人達がズラリ。そう広くもない診察室は白衣の人達でいっぱいです。ゲゲッ、何だか圧倒されるな〜。まるで教授先生の総回診みたいじゃない、白い巨塔の。(ワグナーをモルモットにするなよ。←心の声)
60才前後の先生が挨拶もそこそこに「バーニーズは腫瘍の多い犬種なので、肺以外の他の部位に腫瘍がないかも調べます。」テキパキと業務的に話しを進める先生。慣れてるな〜・・・。(犬だけどネズミじゃないぞ。←心の声)
「で、腎臓の数値を見て、麻酔は負担が掛かるので今回は麻酔しない検査をします。」エッ、こっちは麻酔を掛けた検査(CTスキャンやMRI)を希望してたのに・・・。何のために片道6時間も掛けて来たのか分かってるのかな、このセンセ。という気になっちゃいました。でもまあ、様子をみてみようと気を取り直し、「よろしくお願いします。」とワグナーを預けたのでした。ワグナーはというと、若い白衣の女性にリードを持たれ、ルンルン気分でシッポを振りながら奥の方に行ってしまいました。大丈夫かな〜・・・。(ワグナーをモルモットにするなよ。←心の声)


  待ち合い室も広くて明るかったけど、ワグママと喫煙の出来る外に行きました。さっきの柴Mixのご夫婦も出て来ました。同じ時間の予約だったのです。
「いや〜、うちの子は恐くて固まっちゃって、助手さんが連れていけなくて大変でした〜。」とお母さん。
そういうもんだよな普通。それに引き換え、うちのドタバタはシッポ・ブンブンでオネエチャンに引かれて・・・、ったく。(笑)
「1時間くらいしたら検査休憩があって、飼い主さんと会わせてくれるって言ってたから少し安心してるんです〜。」と柴Mixのお母さん。
えっ、ワグナーの診察の時はそんな事言ってなかったよ・・・、ワグナーは神経質じゃないから休憩も必要無いと判断したのかな〜。
 時間はたっぷりあるみたいなので、校内を歩いてみました。ちょっと可哀想な犬達の犬舍もありました。輸血用の採血をする為に飼われている犬達です。6才になるとお役ご免で飼い主を探すらしいんですが、みんなちゃんと飼い主が見付かるのでしょうか。

 1時間半程して、柴Mixの子は診察休憩となり、お父さん・お母さんの元に一旦返されました。でも、ワグナーは来ない。ワグナーは大型犬だから、あるいはシッポ・ブンブンだから休憩はないのかな〜・・・ワグナーに会いたいよ〜。(;_;)

それから5分程してシッポ・ブンブンで出て来ました!
やっぱり診察休憩はあったみたい。へへへっ

1時間半を1クールの診察は、間に30分程の休憩を入れて3回行われました。2回目の休憩の時、助手の先生が「歩かなくなったり、後ろ足を気にしたりした事はありませんか?」と、ちょっと気になる質問をしてきました。どうしてそんな質問するんだろうと思いながらも、「いいえ、そういった事はまったく。」と答えました。
その3回目の診察の前に診察室に呼ばれたのは、沢山いる診察のワンコの飼い主さん達の中で、私達だけ。不安。。

診察休憩の時間に


 診察室には、午前中と同じ白い巨塔の面々がズラリ。その中心にいる偉い先生がレントゲン写真を見ながら説明してくれました。
「右の後ろ足の付け根が接するお腹の部分、ここですね、ここに腫瘍と思われるものがあるんです。良性のものか悪性のものか組織診をしたいんですが、飼い主さんの了解はいただけますか?」
続けて、「この肺の部分と同じものかどうかは肺の組織を今日は取れないので分かりませんが、この後ろ足付け根部分の検査をしてみようとおもっているのですが。」
流石は麻布大学!レントゲン写真もワグナーのほぼ全身が撮れるでっかい画像で、隅から隅までちゃんと写ってる。ちょうど後ろ足の太ももが隠すようになっている胴体部分でした。ワグナーを触ってみると5cm×5cm程の固くもっこりしたものがあります。それにしても足の付け根にこんな腫瘍があるとは気が付かなかった。間髪をおかず「勿論よろしくお願いします。」と答えました。で、早速、3回目の検査に狩り出されたワグナーでしたが、流石に今度は検査に行きたがらず、こっちを何度も振り返り、不安そうに連れて行かれたワグナーでした。

 この日の診察には女優のY・Hもいました。ボルゾイの女の子だったと思うけど、足がおかしいらしく心配そうなY・H。総回診の先生と廊下で話しをしてたけど、どうやら知人からの紹介でこの先生に診てもらいに来たらしい。やっぱり高名な先生なんだな〜と、今更ながら。

 3回目の診察も終わり、帰って来たワグナーは流石に少し疲れぎみ。腫瘍の組織を取るのが痛かったんだろうと想像されます。助手の先生がとても丁寧に説明してくれて、「組織診の結果が出るのが1週間後に成ります。こちらからご連絡します。それまで別のところに腫瘍が出て来たり、現在のものが大きくなったりしたらご連絡下さい。」との事でした。こんな感じならモルモットにはされなかったみたいだな〜と、ホッと一安心。

 全ての診察を終え、麻布大学を出たのが5時半頃。首都高は混むだろうと、来た時とは別のルートの外環を通って東北自動車道に入ったのですが、ナビもない初めての道、何度か道を間違えたけど何とか東北自動車道に入りました。途中、間違えて入った関越自動車道のパーキングでワグナーにも水をやったけど、飲む飲む、ガバガバ。そりゃそうです、検査の為に24時間何も口に入れてなかったんです。近頃は食が細くなってたし、水もほとんど飲まなかったワグナーですが、この時は凄い勢いで水を飲んだので、ひょっとしたら食欲も出てるかもと思い、パーキングにあった焼き鳥屋台に行き、「済みませんがタレの付いてないのを焼いてくれませんか。」とお願いして手羽先とか焼いてもらったんですが、食べる食べる!5〜6本はあっという間。帰り際に屋台のおばちゃんが「これも上げて。」って、串の付いてない鶏肉の焼いたのを一握りワグママに手渡ししてくれました。やっぱりワンコを飼っているんだそうです。
その後、暗くなったパーキングでワグナーを車に待たせて、私達も夕食を取り、少し休憩して再出発。肺に腫瘍が出来て、前にも増して煙草の煙りを嫌がるワグナーがいるので、運転する車の中で煙草を吸うのを極力控えざるをえません。パーキングで休憩する時くらいしか煙草は吸えないのです。トホホッ

 東北自動車道に乗って最初に休憩したパーキングで「らるご村」のみちちゃんから携帯メールが入りました。みちちゃんは心配してくれて朝から携帯メールをしてくれてたのです。返信するのももどかしいので、みちちゃんの携帯に電話して今日の結果等を話したら、みちちゃんが翌日の金曜日に会社を終えたら直行で山形まで来てくれるという事になりました。同じように心配してくれていた仙台のワンコ仲間達に結果報告の電話をし、一路山形へ。みんな心配してくれて、ワグナーは本当に幸せです。皆さん本当にありがとう。
結局、山形の自宅に到着したのは麻布大学を出て7時間半後の午前1時。行きは良い良い、帰りは恐いの珍道中と相成りました。

そして翌日の夜10時、みちちゃんが来てくれました!

皮下点滴を手伝うみちちゃん。
 翌日の12日(金曜日)、山形駅着10時3分の新幹線で、みちちゃん到着。去年の3月以来の来訪です。
久し振りにみちちゃんの顔を見たワグナーは、「ガウガウガウガウ」言いながらシッポ・ブンブンでみちちゃんに擦り寄ります。
「そおか〜、ガウガウか〜、話してる話してる〜♪」と笑顔のみちちゃん。
「食欲がないって言うから、らるごがそうだった時に食べてくれたものを取急ぎ買ってきたの〜。」時間のない中、ワグナーにお土産をいっぱい持って来てくれました。
そして我が家にも羊羹のお土産。あんこものの和菓子が好きなわたしも大喜びであります。ワグナーの御相伴に預かっちゃいました。気を使わせちゃったね〜、みちちゃん。
久し振りだったから、積もる話で深夜まで話し込んだ事は言うまでもありません。

 一夜開け、食べる食べる!みちちゃんの持って来てくれたお土産。
何なんだ?どこも異常のない、いつものワグナーじゃないか!
ワンコにとっても、病は気からって事?
この日は朝・晩の食事も良く食べたし、それに第一、今まで嫌がって食べた事のないアガリスクを混ぜた食事を試しにと出したら、ペロッと食べちゃった!

みちパワー炸裂!

余りにも調子が良いので、芸術工科大学の芝生に、みちちゃんと散歩に出掛けました。
久々にノーリードにしてやったらワグナーのやつ、走る走る!ほんとに病気なのだろうか。


 この後、みちちゃんも一緒に夕方からハンサム先生のところに麻布大学を紹介してくれたお礼と報告に行きました。先生のところへも大学から連絡が入っていたらしく、「いや〜、いつも触診はしていたんですが気付かなかったですねー、この腫瘍。」とワグナーの例のお腹の腫瘍を触診をしながら先生。
「飼い主の私達もまったく気が付かなかったし、そんなに前から出てたものではないんじゃないでしょうか。」とわたし。奥さん先生も出て来てくれて、「麻布の獣医学部のあの先生の診察は特別なんですよ。でも本当に良い先生ですよ。モルモットにしたりしませんから安心して下さい。(笑)」白い巨塔の話しをしたり、みちちゃんを紹介したり。いつもの点滴セット一式を頂いて帰りました。

 2泊3日のみちちゃんの来訪も、あっという間に時間が過ぎて14日(日)の2時過ぎの新幹線で帰ってしまったみちちゃんでした。ワグナーはガックリと調子が落ちるのかと心配もしましたが、その日の夕食は健康時のいつもの手作り食をしっかり食べたのでした。嬉しい余韻が残っていたのは私達もワグナーも一緒のようです。

wagner's room