またも(7月17日)

 右の前足付け根の皮膚に出来た悪性腫瘍は、幅15cm×高10cm程となり、ウミと流血があるので4時間おきにパッドを交換している状況です。匂いにしても人間の何倍もの嗅覚を持つワグナーには相当きつい匂いのはずです。ワグナーはこのところ、立っているのさえ辛いはずなんですが、パッドの交換の際はじっと動かず本当にいい子にしています。この1週間、日に2回の点滴と近所の公園で飲む水だけで、何も食べていません。当然、立ち上がってもフラフラ、排尿の為と公園の水を飲むためにだけ散歩に出はするのですが、公園の水を飲んだ後は10分程、公園の砂場に座り込んで動けなくなったりしています。


 皮膚の悪性腫瘍が出来始めた頃、後ろ足でカイカイをして大流血騒ぎがあったのですが、それ以来、本犬も学習したのでしょう、一切後ろ足カイカイをしなくなりました。本当はカイカイをしたい時もあるはずなんです。何ヶ月もシャンプーしてやれないでいるし。(この状態では負担の掛かるシャンプーは出来ない状況。)

 3週間おきに飲ませていた抗癌剤ロムスチンの効果も薄れて来た感のある状況下で、悪い腎臓に負担の掛かるロムスチンの投与は前回投与後、3週プラス2週間の5週間空けていました。ハンサム先生は「抗癌剤はワグナーくんに負担が大きいし、効果も薄れているので投与は止めた方がいいかも知れません。」というご意見だったのですが、わたしの思い込みかもしれないけど、今までの経緯からワグナーの腎臓はまだ耐えられる感じがしたし、「ワグナーにもう1度闘わせたいんですよ。」と、ロムスチンをお願いしました。

ある意味、博打。劇薬でもあるロムスチン投与は腎臓に更に負担を掛ける諸刃の剣でもあるからです。ワグナーが食べない(食べれない)でいるのは、ワグナーの中にある「自然治癒力が働いている」為ではないだろうかというほのかな希望に賭けているからです。身体は衰弱しているけど、まだ目の力はある。その1点に賭けたかったのです。



パッド交換を手伝うオネエ

 ロムスチンを投与して丁度、負担の来る2日後、オネエが東京から帰って来ました。「ワグナーに会いたくて」来たんだそうです。ワグナーの状況をオネエに報告していた訳でもないのに、虫の知らせとでも言うのでしょうか。
相変わらずオネエの姿を見るや、オネエに擦り寄り、「ワォワォ・ガゥガゥ」としゃべるワグナー。シッポも弱々しくだけどブンブン。
お陰で、ワグナーの調子も差程落ちる事なく、オネエのいる間は少しではあるけど何かしら口にする事が出来ました。(昨日はおやつの1袋、今日は別のおやつ半袋といった感じ。)

 そしてまたオネエが来た日、我が家に嬉しいお宝が届きました。21世紀元旦に記していた虎徹ママと虎徹オネエから、子バニのワグナーが虎徹家にお邪魔した時の8ミリフィルム撮影をDVDに落として送ってくれたのです。こんな映像があったとは。


 早速、わたし・ワグママ・オネエが雁首揃えて自宅のパソコンの前に集結。好奇心旺盛で恐いもの知らずのヤンチャ子バニが虎徹君に絡んだりして、虎徹君の困った顔。トコトコ動き回ったり、何度見ても飽きない映像。前足がぶっとくてコロコロしてて、ナンダ〜、このチビバニ!!
「3つ子の魂、百までも」というけど、今のワグナーの性格の原形がそこに写っていました。

 我が家に来る前の赤ちゃんバニのワグナーは、虎徹君のお乳を探しています。細くて先っぽの白いシッポをピンと上げ、ヨーイドンの姿勢から虎徹君に飛びかかったり・・・こんな姿は我が家に来た頃、見せた事がなかった。


 まだお乳の欲しい赤ちゃんだったのに、お母さんから離されて遠い山形まで運ばれて来た事が、ワグナーの「ベッタリ甘えない性格」にも影響してるのかもしれないな〜等と、感慨深いものがありました。

 直ぐに虎徹家に電話して虎徹ママと初めてお話しする事が出来ました。「7月1日お昼ごろ、コテツが虹の橋に旅立ちました。」と虎徹オネエからメールで知らされていましたが、ワグナーの腹違いの兄の虎徹君が亡くなったばかりの時に、我が家にこんなに嬉しいお宝DVDを送って下さって。お気持ち、本当に嬉しかった。虎徹ママとワグママを交えて30分くらいお話をしました。

 その翌日、わたしのワンコ飼いの師匠の風太パパからワグナーに、食べれない事を気遣ってくれたいろんな種類のおやつや健康食品が届きました。結局ワグナーが食べたのはその中のカンガルーの肉だけでしたが、また食欲が出て来る時を信じて、大事にとっておきました。

 更にバロンママから広島名物の紅葉まんじゅうが大量に届き、オネエも帰って来てたから3日でなくなったのでした。アンコもの好きのわたしには何よりのもの。みんなに応援していただいて、ワグナー共々感謝です。


 オネエが上京して、ワグナーは更にまた食べない日が続きました。ロムスチン投与後、1週間目という事もありハンサム先生のところへワグナーを連れて行く日だったのですが、車の乗り降りも出来そうにない感じだし、検査したところで打つ手なし。どうしようかと迷いながらもハンサム先生に電話をすると、「何かアドバイス出来るかもしれないから、いらしてみて下さい。」という事だったので、何とか車に押し込んでハンサム先生のところへ行きました。

 診察台でも立っている事が出来ずに、すぐに寝そべるワグナー。結局この日は血液検査をしてもしなくても結果は同じという事で皮下点滴と、皮下点滴に注入する栄養剤を頂いて帰りました。この時、先生もわたしも「あとは時間の問題」と、半分諦めかけていた事は確かです。車で出かけるのが好きなワグナーにとっては、一週間振りのドライブは少し元気が出たのかな?

 小さなアンプルに入った栄養剤、アンプルの頭をパキッと折って、注射器で吸い出して皮下点滴の袋に注入するのですが、注射器で吸い出す時の匂いはマムシドリンクそのものです。ところがこれが効いたのか、その夜、皮下点滴をした後のワグナーの様子が少し違うのです。逆に、こんな小さなアンプルに入った栄養剤でも少し元気が出るくらい衰弱していたという事でしょうか。

 それから3日経った一昨日、「あれっ?ワグナーのガン、少し小さくなってる感じ。」と、パッドを取り替えていたママ。そんな事あるかな〜と聞き流していましたが、昨夜帰宅するとワグナーの様子が明らかに違うんです。精気があり元気を取り戻してる感じ。夜の散歩に行こうと「ワグナー行くぞ。」の声に反応して起き上がって来ます。あれっ?昨日までは呼んでも絶対立ち上がらなかったのに。
散歩の足取りもしっかりして来ています。「今日は夕食も食べたんだよ。」とママ。第一、私達が夕食を食べていると、私達の側に来て何か食べたそうに、私達のお相伴に預かれないか、立って待っています。こんな事は久し振りの事です。

 そして今日、最近は食べてないせいで3日に一度の割りのピー状態だったウンチが、ちゃんと固形のものに戻りました。散歩の足取りはスタスタとスキップ状態。右足付け根のガンのしこりも確かに2周り程小さくなっています。食べなかったから、ガンにも栄養が行かずに小さくなったのかも知れませんが、ワグナーがそれを知ってて食べなく成ったような・・・自然治癒力の為せる事とはいえ、ワグナーのやつは凄い奴です。風太パパからのレトルトの袋もペロリとたいらげています。

復活です。またもワグナーは復活しています。

wagner's room